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A Christmas Memory

             by Truman Capote


Penguin Books
Breakfast at Tiffany's より
December, 2013
あらすじ

主人公がアメリカの田舎*で親戚縁者の家に身をよせていた少年時代のクリスマスの回想記。彼は毎年、最大の年中行事クリスマスの準備を、同居していた60余歳も年上で大の仲良しだった遠縁の従姉とでやってきたが、二人協働で準備した最後のクリスマスとなった7歳の時の準備の一コマ一コマを20数年たった今思い出している。二人のぺットのテリア、クイーニーが随時登場する。
準備は、11月の終わりから取り掛かる30個余のフルーツケーキつくりに始まって、リース用の柊とツリーの伐り出し、苦労して持ち帰ってお手製のデコレーションでの飾りつけ、交換するプレゼントつくりまで。つましい二人は,訳者の言うイノセントの具現者。ケーキを贈る先は隣人、友人以外に、彼らが大切だと思う人達、例えばアメリカの大統領や(ホワイトハウスからの封筒は大事にスクラップブックに。)著名な伝道師や年に二度回ってくる包丁研ぎ等。材料費の中でも一番高いのが、ケーキにフレーバーをつける為のウイスキー:日頃、汗水たらしてケーキファンドとしてためたわずかな貯金を握って,こわごわ行った酒屋の強面の主人が、ペニーまじりの小銭で払おうとする二人のいじらしさに、代金はいらぬからフルーツケーキをひとつくれよと言わしめる。親友(従姉)は「いい人だね、彼用にはレーズンを一杯余計に入れよう」とはしゃぐ。
お互いに交換するプレゼントは、もっといいものをと思いながらも小遣い不足で結局また手作りの凧に。でも2人にとっては有難い贈り物。風が出たので二人は近所の牧草地でその凧揚げに興じた後、草の上に寝っ転がっての話の中で、親友は悟る。「神様が見える。もういつ死んでもいい。」と。
それから二十数年たった間に彼は学校の寄宿舎生活を経て、大人の世界に。親友はしばらく一人で焼いたケーキを送ってきていたが、認知症が進み、記憶も混乱、手紙の字も乱れ、ある日ベッドから目覚めなかった。クイーニーも車にはねられ、かつてクリスマスプレゼントにもらっていた牛の骨を隠していた場所に眠っている。12月の大切な日、彼は思い出を確かめつつ、校庭を歩きながら二つのハート型の迷い凧が足早に天に向かっているのが見える気がして大空をみわたすのだ。
*(pecan畑がでてくるからおそらく作者が幼時転々としたAlabama か
Misouriあたりか)

独語雑感:Breakfast at Tiffany の2年前1956年の短編。私ごとで恐縮乍ら、この年、小生は初めてニューヨークに赴任。作品はその時点から20数年まえの想い出であり、20世紀初めのアメリカは今よりもっと若くて、イノセントな人々が多かったのではないか。作品中の単語の綴りもer でなく英国式の re が使われているのもなんだか当時のアメリカが慎ましい気がする。作品は、豊かな自然、少年と齢の割には幼い従姉とペットも絡んだ友情の描写、彼を待ち受ける色あせた大人の過酷な人生暗示。。感心しながら読みました。大きなモミの木を夜店で買って車に積んで帰った50数年前のクリスマスを思い出した。

(E.Y.)

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