Back

 


  UNACCUSTOMED
      EARTH
     STORIES
  
                  by Jhumpa Lahiri

Vintage Books
Aug. 〜 Dec., 2013
あらすじ

ルーマは夫のアダムと息子のアカ―シュとシアトル郊外の湖に近い家に住み、法律の仕事は止めてアカーシュの世話に明け暮れている。来年初めにはもう一人生まれる予定だ。ヘッジファンドに勤めているアダムはニューヨークからシアトルに転勤になり出張が多く家を留守にする事が多い。ルーマの両親はベンガル出身で父はアメリカに来て長らく勤めた製薬会社を辞めてからパッケージツアーであちこちとヨーロッパを旅して回るようになった。ルーマが母の64回目の誕生プレゼントに母娘で行くヨロッパ旅行を計画し、それに備えて胆石の手術をした母が麻酔の過程で使った筋弛緩剤が原因であっけなく亡くなり、その旅行の名義を変えて行ったのが始まりだった。
その父から8月にプラハに行くのでその前に1週間ほどルーマの新居を見に行きたいと言って来た。丁度アダムが出張で留守になる時なので父と娘と孫の3人で過ごすことになる。母が死んでからしばらくの間は毎日電話をかけて様子を聞いていたが今ではせいぜい週に1度になっている。弟のローミは独逸の映画会社に勤め今はニュージーランドに駐在している。
ルーマは父がひょっとしたら一緒に住みたいと思っているのかもしれないと思ったが、そうなったら折角築いてきた家庭が変わってしまうし、といってこの家に来させないのはなおさら気まずい思いがするし、アダムはルーマまかせで一切異論を唱えないので父にどう切り出したものか悩んでいた。
父はイタリア旅行で一緒になったベンガル出身のバグチ夫人に好意をもった。バグチ夫人は幼馴染の恋人と結婚したのに2年ほどでスクーター事故で夫を失い26歳の時アメリカに来て統計学を勉強して博士号を取り大学で教壇に立った。夫人も好意を持っているが再婚はしないと言う。父は夫人の事を娘に話したものかどうか迷っていた。
レンタカーでやって来た父は早速庭のデルフィニウームが枯れそうになっているぞと言ってヤカンで水をやり始めた。アカーシュは祖父の後について興味深げに見ている。食事が済むと父は昔やっていたように食器を洗う。
翌朝ルーマが目を覚ますとアカシュは父と湖に行っていた。ルーマが色々計画していた観光を勧めたが何処へも行かずのんびりしたいと言う。朝食の後アカーシュの水泳教室についてきてビデオ撮りに熱中した。その夜旅行のビデオも見せたが、ちらっと写ったバグチ夫人の事はごまかした。
翌日は種苗園に行って花一杯のプランター、培養土、シャベル、熊手、ホースなどを買って来て作業衣を出させ庭に花壇を作り出した。自分の区画を作ってもらったアカーシュはゴムボールやレゴや積み木を植えた。夜はアカーシュは祖父のベッドで本を読んで貰いながら寝た。
父は妻と2人の子供を育てた頃の事をあれこれと思い出していた。周囲の人たちは皆娘さんと暮らすんでしょうと言うが父は厄介になろうとは思っていない。アカーシュだけがここに住みたい気持ちを誘ったが、いずれは孫も大きくなったら祖父の事など忘れて行く。
父が帰る前日に庭は完成し、母の好きだったアジサイも植えてあった。父はルーマにあれこれと花の手入れの注意を教えた。その気になったルーマは父に一緒に住まないかと言ったが、父はここはお前の家だ負担を掛けたくないと言って断った。
最後の日は3人でシアトルに遊びに行き、次の朝父はまだアカーシュが寝ているうちに帰って行った。
バグチ夫人にベンガル語で書いた父の葉書をアカーシュが取っていたのを見つけて取り上げたルーマは、女の直感でビデオに写っていた女性と思い、父の気持ちを察した。あとで配達の人に持っていってもらおう。


感想: 全編を通じて父と娘、祖父と孫との感情の動き、亡くなった母への思いが細やかに描かれており、要約はそれらを省略しているから肝心のところが無い。
父の昔の思い出「子供たちの大学時代を思い出す。やっと帰省したと思えば、すっかり自由独立の味をしめていて親の存在がじれったそうで、また家を出るのが待ちきれないようだった。・・・・・家族を持つこと、この地上に子供を産み出すことは、もちろん喜ばしいときもあるが、そもそも完璧を期しがたい企画なのだ。いや、こんなのは年寄りの考えかもしれない。」などわが身につまされる。  

(KO)

Back